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グラベルロードバイクはフロントシングルとダブルどっちがいい?
ロードバイクではフロントダブル、MTBではフロントシングルが現在の主流。では、どちらの要素も持つグラベルロードバイクではどちらを選ぶのが良いのでしょうか?
更新日: 2023.11.6公開日: 2022.10.19
目次
フロントシングルとフロントダブルの違い
ギア比の選択肢の違い
フロントシングルとフロントダブルの違いは、変速段数の違いです。フロントシングルはリア変速しかないため変速段数が少なくなります。一方で、フロントダブルの場合、リア段数 x 2となるため、変速段数が倍になります。
ただし、グラベルロードバイクで重要なのは物理的な段数ではなく、いかにギア比の選択肢を得るかです。フロントシングルだからといって単純にフロントダブルの半分のギア比選択しかないわけではありません。
11速コンポを前提にギア比を比較してみましょう。
まずは、リア11速、11-32Tスプロケットを装着したフロントシングルのギア比。
フロント | リア | ギア比 |
---|---|---|
42 | 11 | 3.82 |
42 | 12 | 3.50 |
42 | 13 | 3.23 |
42 | 14 | 3.00 |
42 | 16 | 2.63 |
42 | 18 | 2.33 |
42 | 20 | 2.10 |
42 | 22 | 1.91 |
42 | 25 | 1.68 |
42 | 28 | 1.50 |
42 | 32 | 1.31 |
ギア比のカバー範囲は1.31〜3.82となります。
続いて、同じリアスプロケットでフロントをダブルにした場合です。
フロント | リア | ギア比 |
---|---|---|
50 | 11 | 4.55 |
50 | 12 | 4.17 |
50 | 13 | 3.85 |
50 | 14 | 3.57 |
50 | 16 | 3.13 |
34 | 11 | 3.09 |
34 | 12 | 2.83 |
50 | 18 | 2.78 |
34 | 13 | 2.62 |
50 | 20 | 2.50 |
34 | 14 | 2.43 |
50 | 22 | 2.27 |
34 | 16 | 2.13 |
50 | 25 | 2.00 |
34 | 18 | 1.89 |
50 | 28 | 1.79 |
34 | 20 | 1.70 |
50 | 32 | 1.56 |
34 | 22 | 1.55 |
34 | 25 | 1.36 |
34 | 28 | 1.21 |
34 | 32 | 1.06 |
ギア比のカバー範囲は1.06〜4.55とロー側もトップ側も広がり選択肢が広くなります。
ただ、詳しくみてみると、フロントシングルとの違いは、50-11、50-12のトップ側2段分、34-28、34-32のロー側2段分の合計4段分だけで、それ以外は段数ごとのギア比差は大きいものの、フロントシングルでも同程度のギア比をカバーしています。
重量の違い
フロントシングルはフロント変速がない分、フロントダブルよりもコンポのトータル重量が軽量になります。
クランクは、フロントシングルがシマノのGRX・FC-RX810-1クランク、フロントダブルがロード向けの105・FC-R7000、FD-R7000で比較してみましょう。
パーツ | フロントシングル | フロントダブル |
---|---|---|
クランク | 644g | 713.4g |
フロントディレイラー | 0g | 95g |
合計 | 644g | 808.4g |
概ね170gくらいフロントシングルの方が軽量になります。ハンドルやサドルなどの交換しやすいパーツで170g軽量化させるとなると数万円のコストになることを考えると、フロントを減らすだけで170gの軽量化が出来るのは「コスパが良い軽量化」と言えます。
特に、グラベルロードバイクはロードバイクと比較して重い車体が多いため、170gの軽量化は大きいと言えます。
ただし、これはあくまでリア・スプロケットを同じものを使う前提です。
フロントシングルでギア比のカバーを増やすために、11-46Tなどのローが大きい超ワイドレシオ・スプロケットに交換すると、スプロケット本体が11-32Tなどのスプロケットよりも100g以上、製品によっては200g近く重くなるため、フロントシングル化の削減分が吹き飛んでしまいます。
この辺りは、自分の好みのギア比構成と軽量化のバランスをうまく取る必要があります。
グラベルロードバイクはフロントダブル・シングルどちらがいい?
舗装路が多いのであればフロントダブル
フロントダブルはギア比のカバー範囲が広く、細かいギア比調整ができるため、「平坦でも坂でもカバー出来る」という意味でフロントダブルの方が走破性が高くなります。この点は、「走破性」を重要視するグラベルロードバイクとしては大きなポイントです。
その意味では舗装路をメインに走るのであれば、フロントダブルで走破性を高める方が良いでしょう。
また、最近利用ユーザーが増えているシマノDi2電動変速の「シンクロ変速」を使えば、ギア比に合わせてフロント変速を自動で行ってくれるため、ギア操作としてはほぼフロントシングルと同じで、フロントダブルの欠点もカバーしてくれます。
グラベルなど未舗装路がメインならフロントシングル
一方で、グラベルなどの悪路では瞬間的に変速判断をしなくてはならないシーンがあるため、フロントダブルだと変速が複雑で瞬間的に適切なギアに入れることが出来ないことがあります。適切なギアに入れることが出来ないと急斜面で落車したり、トルクをかけて無理な変則をするとチェーン落ちをするリスクも増えます。
この辺りが絶壁を降るような用途でも使われるMTBでフロントシングル化が進む理由でもあります。
フロントダブルでもDi2の「シンクロ変速」を使えば良いですが、Di2は高額なコンポセットになるため、簡単には導入が出来ません。グラベルなどの変速がシンプルな方が有利なシーンが多いのであれば、Di2を使わないならフロントシングルのメリットが生きます。
フロントシングルのギア比の狭さが問題になる場合は、スラムなどのフロントシングルでリア11-50Tなどをカバーするコンポに載せ替えれば、カバー範囲を広くすることが出来ます。
また、フロントがシンプルになることで清掃がしやすくなるという面も、車体が汚れやすいグラベルロードバイクでは大きなメリットです。
実際にグラベルを走ってみて、どちらが良いかを試すのがベスト
グラベルロードバイクで最適なギアは、走る道やライダーの脚力によって様々です。その意味では、標準装備で走ってみてどちらが良いのかを体感するのがベストです。
グラベルロードバイクを購入する前に、フロントダブルかフロントシングルかを悩んでいるのであれば、フロントダブルにしておくのがおすすめです。
フロントダブルをフロントシングルにするのは「取り除く作業」なので交換コストが低いですが、フロントシングルをフロントダブルにする場合は、フロントダブルのSTIレバーやフロントディレイラーの購入が必要で、交換コストが高くなります。
グラベルロードバイクのフロントシングルに関するよくある質問
フロントシングル化をすると、必ず軽量化できる?
クランクセットだけをシングル化する場合は、チェーンリングが重くなければ軽量化が可能ですが、対応するギア比のレンジを広げるために、リアディレイラーやスプロケットを超ワイドなものに変更すると、それらの重量増でフロントシングルの軽量化分を消してしまうこともあります。
そのため、軽量化目的でフロントシングル化をする場合は、
- チェーンリング
- リアディレイラー
- スプロケット
に重くないものを選ぶのが重要です。
なぜグラベルではフロントシングルが人気?
フロントシングルは、変速がシンプルで素早くできる点がメリットで、グラベルではロードバイクと違って、急なアップダウンやちょっとしたトラクションがあるため、そうしたシチュエーションで一気にギア比を変えられることから、海外のグラベルシーンでは定番になりつつあります。
ただし、ちょっとした砂利道を走るくらいではフロントシングルの恩恵をそこまで受けられないこと、日本では舗装路が多いことから、フロントダブルもまだまだ人気です。
グラベルロードバイクのためのコンポ選び
グラベルロードバイクは、グラベルコンポだけでなく、ロードコンポも使うことが出来ます。そのため、予算や走るコースによってコンポの選び方も変わってきます。
ロードバイクでは採用車が増えてきているDi2などの電動シフト。グラベルロードバイクでは特に電動シフトを選ぶユーザーが多いイメージですが、なぜ電動シフトが選ばれるのでしょうか?
機械式ディスクブレーキをグラベルロードバイクで使うメリットとデメリット
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