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グラベルロードバイクのためのスプロケットの選び方

グラベルロードバイクのカスタマイズの中でも、初心者でも簡単に出来て、走りへの影響も比較的あるのがスプロケットの交換。今回はグラベルロードバイクならではの、スプロケットの選び方をまとめました。

更新日: 2023.11.21公開日: 2022.9.29

スプロケットを交換すると何が変わるのか?

スプロケットを交換すると、大きく変わるのはギア比です。

ギア比とは「フロントギア / リアギア」で計算される「ギアの重さ」を測る指標で、シティサイクルでは2.3くらいと言われています。

グラベルロードバイクの場合、1.3〜4.3くらいをカバーするのが通常ですが、リアスプロケットを交換すると、このカバー範囲とギアごとのギア比差が変わります。

また、スプロケットを交換すると重量も変わります。一般的に、ギアが大きいワイドレシオの方が重く、クロスレシオの方が軽くなりますが、同じギア構成でもDURA-ACEやULTEGRAなどの上位グレードのスプロケットほど軽量になります。

スプロケットの交換だけで50gほど重さが変わることもあるので、軽量化にも寄与してくれます。

カバー範囲が広い「ワイドレシオ」

11-32Tなどの最小ギアと最大ギアの差が大きい「ワイドレシオ」スプロケットに交換すると、ギア比のカバー範囲は広がりますが、変速した時の重さの差が大きくなります。変速すると「ガクっと重くなる」イメージです。

フロント50/34T、リア11-32Tの2x8速を例に見てみましょう。

フロント リア ギア比 ギア比差 ケイデンス80時の速度
50 11 4.55 0.70 45.6
50 13 3.85 0.51 38.6
50 15 3.33 0.56 33.4
50 18 2.78 0.40 27.9
50 21 2.38 0.30 23.9
50 24 2.08 0.30 20.9
50 28 1.79 0.22 17.9
50 32 1.56 - 15.7
34 11 3.09 0.48 31.0
34 13 2.62 0.35 26.2
34 15 2.27 0.38 22.7
34 18 1.89 0.27 18.9
34 21 1.62 0.20 16.2
34 24 1.42 0.20 14.2
34 28 1.21 0.15 12.2
34 32 1.06 - 10.7

最大速度で見るとわかりますが、ケイデンス80の時のカバーする速度域が時速10kmから時速45kmまでと広くなります。その分、ギア比差が概ね0.3〜0.5と大きめで、アウター7速から8速への変速では0.7もギア比差があります。

変速時の重さの変化が少ない「クロスレシオ」

12-23Tなどの「クロスレシオ」スプロケットにすると、変速時の重さの差は小さくなります。

「ギアが上がったことを意識しないで良いくらい、スムーズに次のギアに合わせてライドが出来る」イメージです。ただし、ギア比のカバー範囲が狭くなるデメリットがあります。

フロント50/34T、リア13-26Tの2x8速を例に見てみましょう。

フロント リア ギア比 ギア比差 ケイデンス80時の速度
50 13 3.85 0.27 38.6
50 14 3.57 0.24 35.8
50 15 3.33 0.39 33.4
50 17 2.94 0.31 29.5
50 19 2.63 0.25 26.4
50 21 2.38 0.21 23.9
50 23 2.17 0.25 21.8
50 26 1.92 - 19.3
34 13 2.62 0.19 26.2
34 14 2.43 0.16 24.4
34 15 2.27 0.27 22.7
34 17 2.00 0.21 20.1
34 19 1.79 0.17 18.0
34 21 1.62 0.14 16.2
34 23 1.48 0.17 14.8
34 26 1.31 - 13.1

先程のワイドレシオスプロケットと違って、最大速度が38.6kmと遅くなり、一番軽いギアも1.31と1段分ほど重くなりますが、ギア比差が概ね0.2に収まっているので、変速をして急に重くなったということはなくなります。

グラベルロードバイクに最適なギア比

グラベルロードバイクは、悪路を走行するという点がロードバイクと違いますが、最近はロードバイクも10%を超える坂を想定して、ギア比1.0近辺のギアを搭載するスプロケットを選ぶようになってきているので、基本的にはギア比の考え方はロードバイクと同じです。

ただ、グラベルロードバイクで、グラベルというよりMTBコースなどのトレイルを走行するのであれば、走破性を意識してギア比1.0未満を用意しておくと安心です。

グラベルロードバイクは「舗装路では高速走行を重視、未舗装路では走破性を重視」という相反する二つを両立させるバイクなので、「ギア比差の小ささより」も「カバーするギア比の範囲を広くする」がコツなので、基本的にはワイドレシオなスプロケットを選ぶことになります。

ただし、グラベルロードバイクを通勤・通学や街乗りで使う場合は、ギア比のカバー範囲はそこまで広くなくても問題ないので、クロスレシオにするのも良いでしょう。

スプロケットの選び方

フロントシングルの場合

グラベルロードバイクで採用が進んでいるのがフロントギアが一枚の「フロントシングル」。

フロントシングルの場合、変速段数がリアのみで段数が少なく、ギア比のカバー範囲が狭くなりやすいので、リアスプロケットをワイドにしてギア比のカバー範囲を広げるのがコツです。

具体的には、最小ギア比が1.0くらいになるように、リア最大歯数が32T〜36Tのスプロケットを入れておきたいところです。

フロントシングルでは、リアの最大歯数が小さいと坂道を登りきれなくなるので、激坂を登る方は11-46Tなどのワイドレシオスプロケットや、MTBコンポを組み合わせて11-51Tなどの超ワイドに魔改造するユーザーもいるほど。

「どれだけワイドレシオに出来るか?」がフロントシングルのグラベルロードバイクでは重要です。

また、全体のギア比を決めるという意味で、フロントのチェーンリングの歯数も重要。グラベルロードバイクでは40Tや42Tが標準ですが、高速域を重要視しないのであれば、MTB用の30Tや32Tのチェーンリングを入れて、全体のギア比を下げるのも一つの方法です。

フロントダブルの場合

フロントダブルの場合、52/36Tや50/34Tなどフロントギアで大きくギア比を上下できるので、クロスレシオ・スプロケットが使いやすくなります。

フロントダブルは、8速、9速などの変速段数が少ない場合でも、ギア比の数を増やすことが出来るのもメリットなので、ややクロス寄りでもカバーできるギア比は広くなります。

ただし、50-34Tのコンパクトクランクだったとしても、「フロントインナー(34T) x リア34T」でようやくギア比1.0ですから、ギア比1を入れようとするとどうしてもワイドレシオなスプロケットになります。

リア34Tのラインアップがあるスプロケットは種類が少ないのがデメリットです。

割り切って「押して登る」のもアリ

MTBコースやトレイルコースなどを走っていると、勾配が20%を超えるような「どうしても乗車して乗り越えられないルート」も出てきます。そうしたルートは、MTBでは「押して登る」のが通常です。

そう考えると、無理に中途半端なワイドレシオ構成にするよりも、割り切ってギア比をクロスに寄せて「登りきれないところは押して登る」とするのも一つの手です。

グラベルロードバイクのスプロケット選びに関するよくある質問

Q.

グラベルロードバイクでクロスレシオなスプロケットは不向き?

A.

グラベルロードバイクでも、走行するルートや自分の脚力に合っていれば、クロスレシオなスプロケットを装着しても問題ありません。

ただし、フロントシングルでクロスレシオなスプロケットを選ぶと、ギア比の選択肢がかなり狭くなるため、坂道に対応できない可能性があることは覚えておくと良いでしょう。

Q.

グラベルロードバイクで、MTB用の超ワイドレシオなスプロケットは装着可能?

A.

リアディレイラーで規定された歯数内であれば、グラベルロードバイクでもMTB用の超ワイドレシオなスプロケットを使うことができます。シマノのGRXで言えば、RX820シリーズはロー最大51Tに対応したリアディレイラーの展開があります。

MTB用の超ワイドレシオなスプロケットを使う場合、トータルキャパシティの関係上、フロントシングルが必須になります。

グラベルロードバイクのためのコンポ選び

グラベルロードバイクは、グラベルコンポだけでなく、ロードコンポも使うことが出来ます。そのため、予算や走るコースによってコンポの選び方も変わってきます。

手持ちの自転車を手軽にグラベル化

グラベルロードバイクは、メーカーが「グラベルロードバイク」として売っているものを買うのが多いですが、ロードバイクやクロスバイクなどをカスタマイズして「グラベル化」することも可能です。

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