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グラベルロードバイク用ドロッパーシートポストの選び方と使い方
グラベルロードバイクでも採用ケースが増えてきているドロッパーシートポスト。グラベルロードバイクならではの選び方、選ぶ際の注意点をまとめました。
更新日: 2023.11.30公開日: 2023.4.3
目次
ドロッパーシートポストとは?
スポーツ自転車では、平地や上りではサドルの高さをなるべくあげて、体重をかけてペダリングをすることで、パワー効率が上げます。一方で、MTBなどの下りでは、バランスを取るためにスタンディングの状態で乗車するため、サドルが高いままだと段差でサドルが上下して邪魔だったり、お尻にヒットしてしまったりというデメリットがあります。
ドロッパーシートポストは、そうしたMTBの下り時にサドルがお尻にヒットしないように、手元のレバーでシートポストの高さを上げ下げするために使われるパーツです。
グラベルロードバイクで何故ドロッパーシートポストが必要?
舗装路を走るロードバイクに対して、ロードバイクスタイルで未舗装路まで走行出来るのがグラベルロードバイクのメリットですが、年々グラベルロードバイクでMTB寄りのコースも走るシーンが増えてきています。
そのため、MTBと同じようなコースを走る場合に、MTBと同様サドルを手元で下げられる方が良いということで、グラベルロードバイクにもドロッパーシートポストの導入が進んでいます。例えば、シマノのグラベル向けコンポーネントGRXは、左STIレバー「ST-RX810-LA」がドロッパーシートポストに対応しています。
グラベルロードバイクでのドロッパーシートポストの導入は、ある意味「グラベルロードバイクがよりMTBに近くなってきた象徴」とも言えます。
グラベルロードバイク用ドロッパーシートポストはMTB用と何が違う?
各メーカー、MTB用ドロッパーシートポストとは別にグラベルロードバイク用の製品をラインアップしています。
MTB用ドロッパーシートポストとの違いはシートポストが落ち込む幅である「トラベル量」で、下りでのジャンプなども想定するMTBでは125〜200mmのトラベル量の製品が多いですが、グラベルロードバイクではそこまでの動作はしない(車体的に出来ない、破損するリスクがある)ため、50〜100mmのトラベル量の製品がメインになります。
トラベル量はそのままドロッパーシートポストの重量にも繋がるため、グラベルロードバイク用のドロッパーシートポストはMTB用よりも軽量な製品がメインになっています。
項目 | グラベル用ドロッパー | MTB用ドロッパー |
---|---|---|
トラベル量 | 50〜100mm | 125〜200mm |
重量 | 300g台 | 500〜600g |
もちろん、シートチューブの口径と長ささえ適合すれば、グラベルロードバイクでも、MTB用のドロッパーシートポストを使うことも出来ますが、MTB用のドロッパーシートポストは重量もあるため、使わないトラベル量を用意するよりかは、通常のアルミシートポストに少し重量を足したくらいの軽量ドロッパーシートを装着した方が、舗装路も走行するグラベルロードバイクではメリットが大きいというわけです。
グラベルロードバイク用ドロッパーシートポストの種類
グラベルロードバイク用ドロッパーシートポストの種類は、基本的にMTB用と同じで、
- ワイヤーのルーティング(内装/外装)
- トラベル量
- シートポストの口径
の3種類で分かれます。どれも「機能や性能での違い」というよりかは「取り付け可能か」という点での種類分けです。
内装式/外装式だけじゃない!取り付けが可能かを左右する「ルーティング」
ドロッパーシートポストを選ぶ際は、まず最初にワイヤーのルーティングが内装なのか外装なのかで絞り込みをします。
現行のドロッパーシートポストは内装式がメインで、シートチューブ内部から下にワイヤーが伸びて、ハンドルにあるレバーまでフルアウターでルートを取ります。このルートが取れるかが、非常に重要になります。
グラベルロードバイクは内装式フレームが多いですが、BBシェルがシートチューブ、ダウンチューブに貫通していない場合は、場合によっては内装式フレームでもルーティングが出来ない場合があります。
また、ダウンチューブからの出口も、グロメットにドロッパーシートポスト用に余分に穴が開いていないと、出口を確保出来ません。ここはフロントシフトかドロッパーワイヤーのどちらかを選ぶタイプが多いすが、バイクによってはそもそもフロントシングルでシフト用の出口がない場合もあります。
では、内装式がダメなら外装式でいけるかというと微妙なところで、外装ワイヤーを固定するためのグロメットなどがない場合は、結束バンドなどでフレームに固定することになり、ワイヤーの引きでアウターワイヤーが暴れてうまく固定出来ないケースもあります。
そのため、グラベルロードバイクでドロッパーシートポストを使いたい場合は、「購入時にドロッパーシートポストのルーティングが用意されているフレーム」を選ぶのがベストです。
<ルーティングのチェックポイント>
- シートチューブからBBシェル通過してダウンチューブに入るワイヤールーティングがあるか?
- BBシェルを通過できないなら、他のルーティングが可能か?
- ダウンチューブから出る時のグロメットに出口があるか(他のワイヤーを犠牲にして代替出来るか?)
- 内装式がダメなら外装式でルーティングが出来そうか?
シートポスト径と長さ(最小差し込み長)の選び方
内装式か外装式か、自分のフレームに取り付けが可能かがわかったら、次はシートポスト径と長さ(最小差し込み長)から種類を絞り込みます。
ドロッパーシートポストの口径は、
- 27.2mm
- 30.9mm
- 31.6mm
の3種類がほとんどです。ドロッパーシートポストの口径がこれらよりも大きい場合は、シムを入れることで対応が可能ですが、小さい場合は取り付けが出来ません。
口径で絞り込んだら、次に自分のフレームのシートチューブの頭からダボ穴までの長さを測ります。ここがドロッパーシートポストのスペック表にある「最小差し込み長」よりも大きくなる製品を選びます。何故なら、シートチューブには大抵ボトルケージを取り付けるためのダボ穴があり、シートポストはダボ穴より下にすることが出来ないからです。
シートチューブの頭からダボ穴までの長さが、最小差し込み長よりも小さい場合でも取り付け自体は出来ますが、ドロッパーシートポストがシートチューブの口よりもかなり上になってしまうので、実質的にトラベル量が減ってしまいます。
ここはドロッパーシートポストの性能や機能という以前の「シートチューブに取り付けが可能か」という選び方になります。
トラベル量の選び方
ルーティング、口径、最小差し込み長のチェックが出来たら、最後にトラベル量を選びます。
トラベル量(沈み込みの長さ)は「(サドルのレール下部からダボ穴までの長さ - フレーム挿入長※) > トラベル量」となるものを選びます。
※コントロール部分を含めない
トラベル量が長すぎて「ドロッパーを伸ばした時にペダルに足がつかない」状態にならないように注意しましょう。
ベストなのは、「サドルを自分がペダリング出来る一番上まで上げた状態から、ドロッパーシートポストが一番下にある時の高さの差分がトラベル量になる」ように選ぶことです。こうすると、ドロッパーシートポストのトラベル量を最大限に生かすことが出来ます。
グラベルロードバイクは、ジオメトリ的にMTBよりもはシートチューブが長く設計されているため、トラベル量200mmなどのドロッパーシートポストを選んでも、そんなに移動が出来ない(サドルが上がりすぎてしまう)ことがほとんどですので、50mm、75mm、100mmの製品を選ぶのが一般的です。
中には50mm(つまり5cm)トラベルの製品しか選べないこともあり、「5cmじゃほとんどトラベルしていないじゃないか!」という状態になってしまいますが、ここばかりはフレームとの相談ということになります。
グラベルロードバイクとドロッパーシートポストに関するよくある質問
自分でグラベルロードバイクにドロッパーシートポストの取り付けはできる?
ドロッパーシートポストは、フレームにワイヤーをルーティングする作業がありますがそこまで取り付けは難しくないため、ワイヤールーティングができれば、基本的には自分でも取り付けができます。
作業をする際は、ワイヤーカッターや六角レンチなど工具が必要になります。
グラベルロードバイクにMTB用のドロッパーシートポストを取り付けは可能?
シートポストの径が合っていて、最大高さが自分のポジションに合っていれば、MTB用ドロッパーシートポストをグラベルロードバイクで使うことができます。
ただし、グラベルロードバイクはMTBよりもシートチューブが長いため、150mmや170mmなどのトラベル量が多いドロッパーシートポストを取り付けると、ペダルに足が届かなくなる可能性があります。
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