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どこが違う?グラベルロードバイクとオールロードバイクの違い

ロードバイクに似たデザインで「舗装路以外も走行出来る」という意味で、同じような文脈で紹介されるグラベルロードバイクとオールロードバイク。製品にもよりますが、実は想定用途が微妙に異なるため、スペックやジオメトリなどにも違いがあります。

更新日: 2023.10.12公開日: 2023.10.9

似ているが微妙にコンセプトが違う

グラベルロードバイクもオールロードバイクも、「舗装路以外も走ることが出来る」というコンセプトは同じですが、微妙な違いがあります。

グラベルロードバイクが単に「グラベル」だけでなく、MTBに近いオフロード道を走ることも想定していることが多いのに対して、「オールロード」を謳ったロードバイクは「舗装路の延長線上での未舗装路」を守備範囲としていることが多く、本格的なグラベルを想定していないことがあります。

ただし、この辺りは全体的な傾向で製品ごとに違うため、どこまでが守備範囲なのかは、スペックやジオメトリを見ながら判断することになります。

スペック上の違い

対応タイヤサイズ

両者の違いは対応タイヤサイズにも出てきます。

製品ごとの違いはありますが、グラベルロードバイクは、700 x 40Cサイズ前後が標準タイヤサイズで、最大で700 x 45〜50Cサイズまで対応することが多くなります。

一方で、オールロードバイクの場合、タイヤサイズは700 x 35〜40C程度が最大サイズで、それ以上太いタイヤを装着する場合は、650Bにホイールサイズをサイズダウンさせることで対応するケースが多くなります。

ちょっとした違いではありますが、現在はMTBでも主流は29er(ロードバイクの700Cサイズ)になってきていることを考えると、700Cサイズでより太いタイヤを装着可能なグラベルロードバイクの方が、よりオフロードに対応できると言えます。

フレームのジオメトリ

次に大きいのがフレームのジオメトリ。

オールロードバイクは、ロードバイクに似たジオメトリで対応タイヤサイズを広げるための対応をしていることが多いですが、グラベルロードバイクの場合は、ホイールベース(前後ホイールの中心から中心の長さ)が長く、安定性を重視したジオメトリが多くなります。メーカーによっては、MTBのようにハンドルが上に上げてフォークをやや寝かせるジオメトリを採用していることもあります。

つまり、グラベルロードバイクは、ロードバイクとMTBの中間のようなジオメトリで、オールロードバイクはあくまでロードバイクのジオメトリになっているということです。

コンポーネント

搭載するコンポーネントでも違いが出てきます。

かつてのグラベルロードバイクは、シマノコンポーネントならグラベル用のGRXシリーズが採用されることが多かったですが、最新のグラベルロードバイクではMTBシーンで人気が高いSRAMのコンポーネントを採用するケースが増えてきています。

しかも、一部のグラベルロードバイクは、SRAMのMTB系のコンポーネントとロード系のコンポーネントを組み合わせていることもあり、グラベルロードバイクをよりオフロード向けにセットアップされる傾向があると言えます。

一方でオールロードバイクの場合は、コンポーネントは基本的にはロードバイク向けがメインで、一部モデルでグラベル向けコンポーネントを採用するイメージ。

この採用コンポーネントの違いは対応するギアに出てきます。

例えば、シマノの最新GRXやMTB向けのコンポーネントはフロントシングルでリアが最大50Tに対応することがほとんどですが、ロードコンポーネントはあくまでフロントダブルのリア最大36T程度。

リア最大が大きいフロントシングルギアは、舗装路での走りで制限がある(ギア比が足りない、ギア比の差が大きい)一方で、高低差のあるオフロードでは瞬間的に一気にギア比を変えることが出来るというメリットが出てきます。

一方で、ロード向けフロントダブルのギアは、舗装路で細かいギア比調整が可能になる一方で、オフロードでは変速が煩雑に変速が必要になるというデメリットがあります。

この辺りは、実際の走りにも影響してくる部分なので、実は重要なポイントです。

装着ホイール

装着ホイールの違いも大きいでしょう。

スポーツ自転車のホイールは、実は「ASTM(America Society for Testing and Materials)規格」というものが存在します。

ASTMでは「USE CONDITIONS」と呼ばれるカテゴリ分けがあり、1~5のレベルで分類されます。

グラベルロードバイク向けのホイールは、基本的には「約15㎝の高さからの段差の走行にも対応する」というASTM2規格のものがほとんどですが、ロード向けのホイールは舗装路を想定したASTM1規格のものがほとんどです。

実際にグラベルロードバイクのユーザーでも、「グラベルを走ってたらカーボンホイールが割れてしまい、後から調べてみたらそのホイールは未舗装路を想定しないASTM1規格だった」というレビューもあるほどで、実はグラベルを走るなら重要なポイントです。

なお、オフロードでジャンプをするような場合はASTM3以上が必須です。

自転車ホイールのASTM規格とは何か? cyclabo

どちらを選ぶかは「どこをメインで走るのか」で決めると良い

最後に両者の違いを表で見てみましょう。

項目 グラベルロードバイク オールロードバイク
タイヤ幅 700 x 35〜50C程度 700 x 35〜40C程度
フレームジオメトリ オフロード走行を重視した安定感のある設計 舗装路走行を重視した俊敏な設計
コンポーネント グラベル用やMTB用を採用 ロードバイク用を採用
用途 長離ツーリングやアドベンチャーライド 舗装路と未舗装路の両方を走るオールラウンドなライド

同じような文脈で紹介されるグラベルロードバイクとオールロードバイクですが、よく見るとコンセプト的にも用途的にも意外と違いがあることがわかります。

どちらにするかは、「どういった用途で乗るのか?どこを走りたいのか?」で変わってくるため、購入前に自分が想定する走りをよく考えて選ぶのがベストです。

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