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グラベルロードバイクを軽量化する方法とコスパの良いアップグレード
車体重量が重めのグラベルロードバイクで「走りを軽くしたい」のであれば、車体の軽量化がベスト。グラベルロードバイクを軽量化する方法と、コスパの良いアップグレード方法をまとめました。
更新日: 2023.11.16公開日: 2022.9.9
目次
そもそもグラベルロードバイクに軽量化は必要?
舗装路で出来るだけ省エネで出来るだけ速く、出来るだけ遠くまで走ることを前提としているロードバイクでは「軽さこそ正義」と言われます。
一方で、グラベルロードバイクは舗装路だけでなく悪路もしっかりと走破出来ることに重点を置いている自転車です。その意味では、軽さも大事ですが「走破出来る」という点も非常に重要です。
舗装路を走るロードバイクでは、レースなど極限を求める走りをしなければ落車することはあまりありませんが、グラベルロードバイクで走る道はスリップしたり段差に乗り上げたりと、落車が普通に有り得る道です。
軽量化を求めるあまり、脆いバイクになってしまうと、落車の時にパーツを破損させてしまうことになります。
重量が重めのグラベルロードバイクでは、少しでも走りを軽くするために軽量化をしたくなりますが、極端な軽量化でバイクの頑丈さが損なわれると、破損や故障の原因にもなります。
その意味では、グラベルロードバイクでは「軽量化と頑丈さのバランスが大事」と言えます。
物理重量の軽量化と「走りの軽さ」は別と理解しよう
グラベルロードバイクに限らず、スポーツ自転車の軽量化をする場合は、物理重量の軽量化と走りの軽さは必ずしもイコールにならないと理解しておく必要があります。
グラベルロードバイクを軽量化する際、軽量化の効果を感じやすいのは「回転するパーツ > 支えるパーツ」です。
回転するパーツは「ペダル、ホイール、タイヤ、クランク」などで、支えるパーツは「サドル、シートポスト、ハンドル、ステム」などです。回転するパーツはペダリングの重さに直結していますので、走りの軽さに大きく影響します。
中でも影響が大きいのがタイヤとホイールで、両者は重量だけでなく、タイヤは路面との転がり抵抗を、ホイールは回転する際のベアリングの抵抗や空気抵抗を持っているので、同じ重量でも上位グレードモデルにするだけで走りが軽くなることもあります。ホイールは素材やリムの高さで空気抵抗も変わります。
逆にライダーの体を支えるパーツ、例えば簡単な軽量化で人気のサドルを100g軽量化したとしても、サドルの100g分の重量はフレーム、ホイール、タイヤで負荷を分散して支えていますので、走りへの影響は大きくありません。ボトルの水が100ml増えたか減ったかで、走りの変化を感じないのと同じです。
プロレーサーがサドルやハンドルなどの支えるパーツ(コンタクトポイント)の軽量化を進めるのは、「それ以外は軽量化をやり尽くして、それ以上軽量化が出来ないから」という側面もあることを覚えておきましょう。
グラベルロードバイクのパーツ別、軽量化効果・早見表
まず先に、グラベルロードバイクを構成する主なパーツごとの、軽量化のためのコストと重量差、軽量化効果を一覧で見てみましょう。
コストと重量差は概ねの目安です。
パーツ | コスト | 重量差 | 軽量化効果 |
---|---|---|---|
STIレバー | 10,000〜50,000円 | 50〜100g | △ |
フロントディレイラー | 3,000〜15,000 | 10〜30g | △ |
リアディレイラー | 3,000〜15,000 | 10〜30g | △ |
スプロケット | 2,000〜10,000 | 10〜30g | △ |
フロントブレーキ | 5,000〜10,000 | 10〜30g | △ |
リアブレーキ | 5,000〜10,000 | 10〜30g | △ |
クランクセット | 10,000〜60,000 | 100〜200g | ◎ |
チェーン | 5,000〜10,000 | 10〜30g | △ |
ペダル | 5,000〜20,000 | 50〜100g | ○ |
シートポスト | 5,000〜20,000 | 10〜100g | △ |
サドル | 5,000〜30,000 | 10〜100g | △ |
ハンドル | 5,000〜30,000 | 10〜100g | △ |
ステム | 5,000〜10,000 | 10〜100g | △ |
フロントホイール | 20,000〜 | 100〜300g | ◎ |
リアホイール | 20,000〜 | 100〜300g | ◎ |
タイヤ | 5,000〜20,000 | 200〜500g | ◎ |
ローター | 5,000〜10,000 | 10〜100g | ○ |
次からはそれぞれを詳しく見ていきます。
コストはかかるが効果が大きい軽量化
軽量ホイールにアップグレードする
スポーツバイクの軽量化と言ったら、一番最初に検討すべきはホイールの交換です。
ホイールとタイヤを合わせた車輪の重量は、グラベルロードバイク全体重量のうち30%ほどを占めているため、ここを軽量化すると全体重量への影響も大きくなります。
グラベルロードバイクの完成車に付属しているホイールは前後で2〜2.5kgほどのモデルが多いですが、軽量ホイールならミドルグレードでも前後で1,700gほど、上位グレードになると1,500gを切るモデルもあります。
標準装備のホイールがどれくらい重いのかにもよりますが、300〜500gほどの軽量化でコストは6〜10万円ほどのイメージ。高いアップグレードになってしまいますが、他のパーツで500gも軽量化をしようとするとかなりのコストがかかるので、軽量化のコスパとしては高い部類になります。
さらに軽量化を進めたいなら、この機会にチューブレス(チューブレス・レディではなく)ホイールにすると、チューブの分も軽量化が出来ます。
軽量なグラベルタイヤに交換する
「軽量化にあまりコストはかけられないけど、もっとを走りを良くしたい!」というのであれば、ロードバイクでも定番の軽量化がタイヤのアップグレード。しかも、グラベルタイヤはロードタイヤよりも太いため、ロードバイクよりも軽量化の効果が高くなります。
タイヤのアップグレードコストは、どのタイヤにするかによって大きく変わりますが、概ね前後で1〜1.5万円ほどで大きく軽量化が出来ます。
タイヤを交換で軽量化を狙う際は、
- ハイグレードなタイヤにする(太いのに軽い)
- セミスリックなどのブロックパターンが少ないモデルにする
- 同じタイヤで細いサイズにする
という3つの方法があります。
グラベルロードバイクのタイヤは、太めのグラベルタイヤはエントリーグレードだと非常に重いタイヤです。モデルによっては1本600g近いタイヤを履いていることもあるでしょう。これをハイエンドな軽量グラベルタイヤにすると1本あたり400g台の製品もあるので、前後で200g以上の軽量化が可能です。
グラベルタイヤには「ブロック」「セミスリック」「スリック」の3つの種類がありますが、ブロックタイヤ以外にするとタイヤ重量は軽くなります。同じ38Cでもブロックタイヤである「Donnelly EMP チューブレスレディ」は1本484g、セミスリックの「Panaracer グラベルキング SS チューブレスレディ」は1本410gと前後で150g近く軽くなります。
また、同じグラベルタイヤでも、少し細いタイヤにするだけでも軽量化が出来ます。例えば、Panaracerの「グラベルキング SK Plus」は38Cが1本480gなのに対して32Cは1本360g。前後で240gも軽量化が出来ます。
グラベルタイヤで軽量化したいなら、Panaracerのグラベルキング TLCシリーズがオススメ。スリックタイヤですが、そこそこ太い700x32Cサイズで1本290gと、ミドルグレードの700x25Cクリンチャーくらいの重量しかなく、非常に軽量かつ頑丈で、グラベルロードバイクでロードみたいな走りを実現出来ます。
もっと軽くしたい!というのであれば、スリックタイプのグラベルタイヤや、思い切って太めのロードタイヤを履いてしまうという手もあります。
クランクセットを交換する
グラベルロードバイクのコンポーネントの中でも重量級のパーツがクランクセット。完成車に付属するクランクセットだとBBと合わせて1.2kgくらいするものがありますが、シマノの105クランクなどに交換すると BBとセットで800g台まで軽量化できるため、最大で300gほど軽量化が可能です。
コスト的にはクランクセットとBB合わせて2万円ほどするのでやや高額なアップグレードになりますが、クランクが良いものになると、剛性が上がって推進力も高まるため、走りもよくなるというメリットもあります。
また、フロントダブルのグラベルロードバイクの場合、思い切って上位グレードのフロントシングル・クランクセットにカスタマイズすると一気に軽量化が出来ます。
効果はそこそこだけど低コストな軽量化
軽量ペダルにする
グラベルロードバイクでどんなペダルを装着しているかにもよりますが、概ねセットで300〜400g程度が標準でしょう。
フラットペダルなら高級ペダルにアップグレードすれば100g程度、ビンディングペダルならシマノやLOOKの上位グレードにすると、80gほど軽量化が出来ます。
ローターを上位グレードにする
グラベルロードバイクに搭載されているディスクブレーキにはローターが必須ですが、ローターもモデルやサイズによって前後で100gほど軽量化が出来ます。
効果が高いのは「小さいサイズ(160mmローターから140mmローター)の上位グレードのローターに交換する」アップグレードで、前後で1〜2万ほどで、最大で100g弱軽量化が可能です。
フロントシングル化する
フロントギアをダブルではなくシングルにする「フロントシングル」は、フロントディレイラー、チェーンリング1枚分、シフトケーブルの3つのパーツがなくなることで、クランクセット・BBを交換しないでも200〜300gほど軽量化が出来ます。
コスト面でもクランクセット・BBを交換しない場合は、ナローワイドチェーンリングを購入するだけなので、高くても1万円ほどでコスパの良い軽量化が出来ます。
ただし、フロントシングルにすることでギアの選択肢が狭くなってしまうので、フロントダブルとフロントシングルの違いやメリット・デメリットを理解した上で、フロントシングル化するようにしましょう。
軽量化にあまり貢献してくれないパーツ
最後に、軽量化という点ではアップグレードをしてもあまり貢献してくれないパーツをピックアップしましょう。
- スプロケット
- チェーン
- ステム
- シートポスト
- STIレバー
- ディレイラー
これらのパーツは、上位グレードにアップグレードをすると数十g程度は軽量化が出来ますが、数百g単位で軽量化をするとなると合計コストが数万円になるので、素直にホイールの交換などをしたほうが簡単ですぐに軽量化が出来ます。
軽量化する意味がないということはないですが、「軽量化をしたい」「走りを軽くしたい」というのであれば、後回しにしても良いパーツです。
グラベルロードバイクの軽量化に関するよくある質問
フロントシングル化をすると、必ず軽量化できる?
クランクセットだけをシングル化する場合は、チェーンリングが重くなければ軽量化が可能ですが、対応するギア比のレンジを広げるために、リアディレイラーやスプロケットを超ワイドなものに変更すると、それらの重量増でフロントシングルの軽量化分を消してしまうこともあります。
そのため、軽量化目的でフロントシングル化をする場合は、
- チェーンリング
- リアディレイラー
- スプロケット
に重くないものを選ぶのが重要です。
軽量化はいつ、どのタイミングでするのが良い?
実際にグラベルロードバイクで走行をしてみて、「走りが重いな」と思ったら、予算に合わせて軽量化をしてみても良いでしょう。自転車では平坦よりも登りで車体の重さを感じやすいため「登りが辛い」と思って軽量化するライダーが多いです。
また、ホイール、タイヤ、コンポなどのパーツのアップグレードタイミングで、軽量化できるパーツを選ぶというのも軽量化をする良いタイミングです。しっかりと軽量化できるパーツを選ぶと、値段は高くなってしまいますがコスパは高くなります。
軽量化の限界が来たらどうする?
可能な限りパーツを軽量なものにアップグレードすると、それ以上は軽量化ができないポイントがきます。こうなるとフレーム、フォークを軽量化しないとダメなケースが多いでしょう。
その場合は、より軽量なフレームセットを購入するか、より上位グレードのグラベルロードバイクの完成車を買うのが一般的です。
グラベルロードバイクの軽量化ガイド
ロードバイクに比べて車体重量があるグラベルロードバイクを軽量化してロードバイクのような乗り心地にするための軽量化ガイドです。
グラベルロードバイクでカーボンホイールを使うメリット・デメリットと選ぶ際のポイント
速度と高効率を追求するロードバイクではメジャーとなりつつあるカーボンホイール。舗装路とは違う走行条件であるグラベルロードバイクでも、車体の軽量化にも貢献してくれますが、選ぶ際の注意点もあります。
ロードバイクの派生系であるグラベルロードバイクは、そのままでも舗装路を走ることが出来ます。しかし、ロードバイク化すれば「もっとロードバイクに近い走り」を実現することが出来ます。
グラベルロードバイクの軽量化で一番効果的なのが軽量ホイールへの交換。まだまだ数が少ないグラベルホイールの中でも、人気メーカーのホイールを比較しました。
軽量化も!グラベルロードバイクに最適なビンディングペダルまとめ
グラベルロードバイクのビンディングペダルはロードバイクとは違った観点で選ぶ必要があります。しかも、ビンディングペダルの選び方次第で重いグラベルロードバイクの軽量化に繋がることもあるため、コスパの良いカスタマイズです。
ロードバイクと比べて遅いと言われるグラベルロードバイク。グラベルロードバイクでも速く走りたい!という方は、タイヤをカスタマイズするだけでも、走りを軽く・速くすることが出来ます。
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